副甲状腺機能低下症は生涯治療が必要
副甲状腺機能低下症は、一時的な副甲状腺機能低下症を除いて、生涯治療を続ける必要があります。
また、低カルシウム血症に伴うテタニー(手足のこわばり、筋肉のつりやこむら返り、顔のけいれんなど)や全身けいれんなど症状が急激に悪化する場合(急性期)と、症状がコントロールできている場合(慢性期)では治療法が異なります。
副甲状腺機能低下症の治療薬
活性型ビタミンD製剤
ビタミンDは腸管(主に小腸)でのカルシウム吸収を促すなど、血液中のカルシウムやリンの濃度を維持する上で重要な役割を担う栄養素です。実際に治療薬として処方されるのは、体内で働ける状態のビタミンD(活性型ビタミンD)です。
血液中のカルシウム濃度を上げるため、主に慢性期の治療として毎日内服します。症状が重い場合には、カルシウム製剤と並行して内服することもあります。
副作用は高カルシウム血症、腎石灰化(腎臓にカルシウムが溜まること)、尿路結石、腎機能低下、消化器症状、皮膚のかゆみ、食欲不振などです。
カルシウム製剤
血液中のカルシウム濃度を上昇させるために用いられます。
低カルシウム血症の症状が重い場合に、点滴注射したり内服したりすることがあります。腎臓の合併症(腎石灰化、尿路結石、腎機能低下)を避けるため慢性期に継続的に内服することはあまりなく、活性型ビタミンD製剤の効果をみながら必要に応じて処方されます。
副作用は便秘や胸やけ、高カルシウム血症、腎石灰化や尿路結石などです。
副甲状腺ホルモン製剤
分泌が低下している副甲状腺ホルモンを補う薬剤です。
慢性期の治療で処方され、1日1回、皮下注射(皮膚組織に注射する方法)で投与します。活性型ビタミンD製剤やカルシウム製剤による治療を受けている場合に考慮されます。
副作用は注射部位の赤みや内出血、腫れ、血圧低下に伴うめまいや立ちくらみ、高カルシウム血症、低カルシウム血症などです。
症状が急激に悪化する場合(急性期)の治療法
低カルシウム血症に伴うテタニーやけいれんを起こしている場合、カルシウム製剤を静脈内に直接注射し、可能なら活性型ビタミンD製剤を内服します。症状が改善してきたらカルシウム製剤の注射量を減らしながら活性型ビタミンD製剤の量を増やしていき、最終的に活性型ビタミンD製剤の服用のみにします。
症状がコントロールできている場合(慢性期)の治療法
血液中のカルシウムやリンの濃度を定期的に測定しながら、活性型ビタミンD製剤の内服もしくは副甲状腺ホルモン製剤の投与を行います。
活性型ビタミンD製剤の内服の場合は、血液中のカルシウム濃度を高く設定せず、基準値(約8.5〜10.5 mg/dL)の平均より低めもしくは基準値を少し下回る数値を目指します。一方、副甲状腺ホルモン製剤の場合は、血液中のカルシウム濃度の正常化を目指します。
副甲状腺機能低下症では、副甲状腺ホルモンの作用の1つである、カルシウムを尿中から血液中に戻す作用が働かないため尿中のカルシウムが増加し、腎石灰化、尿路結石、腎機能低下などがみられる可能性があります。そのため、定期的に血液検査や尿検査などを行い、腎機能もモニタリングします。
そのほか白内障や慢性腎臓病など合併症があれば、それらの治療も並行して行います。
監修:東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 准教授 槙田 紀子 先生

