副甲状腺機能低下症の診断に必要なこと
副甲状腺機能低下症は、診察で日頃の症状や低カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が低い状態)に特徴的なサインがみられるかなどを確認したり、血液検査で低カルシウム血症かどうか、血液中の副甲状腺ホルモンが低いかどうかを調べるなどして診断されます※1。
専門の診療科は内分泌内科
副甲状腺機能低下症はホルモンを分泌する臓器(副甲状腺)の病気であるため、診療科は内分泌内科(もしくは内分泌代謝科、代謝内科など)になります。
間違われやすい疾患「てんかん」
重度の低カルシウム血症の場合、全身のけいれんが起こることがあります。このけいれんが脳の病気「てんかん」で起こる発作(てんかん発作)と似ているため、てんかんと誤って診断されてしまうことがあります。このほか、低カルシウム血症は不安や抑うつなどの精神症状が現れることがあり、精神疾患と間違われることもあります。
てんかんや精神疾患と診断され治療していても症状がなかなか改善しない場合、低カルシウム血症が原因の可能性もあるため、血液中のカルシウム濃度を測定してもらいましょう。
※1 実際に血液中のカルシウム濃度を評価する際は、血液中のタンパク質(アルブミン)の濃度で補正して計算されます。
副甲状腺機能低下症の診断基準・低カルシウム血症をおこす他の病気について
副甲状腺機能低下症は低カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が8.5 mg/dL未満の場合)1)が認められるほか、血液中のリン濃度が高い(正常範囲内の高めもしくは高リン血症)、重度の腎機能低下がみられない(eGFR※2の数値が低くない)、副甲状腺ホルモン(intact PTH)の値が低い(30 pg/ml未満)場合に診断されます。
偽性副甲状腺機能低下症は高リン血症と重度の腎機能低下がみられない点は副甲状腺機能低下症と同じで、intact PTHの数値が30 pg/ml以上である点が異なります。このほかビタミンDが不足していないか、血液中のカルシウム濃度が低下する他の疾患でないかどうかを調べて、確定診断されます。
副甲状腺機能低下症もしくは偽性副甲状腺機能低下症かどうかを診断する際に確認する項目
| 血液中のリン濃度 | 3.5 mg/dl以上(乳児は5.5 mg/dl、小児は4.5 mg/dl) |
|---|---|
| eGFR | 30 ml/分/1.73 m2以上 |
| intact PTH | 30 pg/ml未満(偽性副甲状腺機能低下症は30 pg/ml以上) |
※2 eGFR:推定糸球体濾過量のことで、血清クレアチニン値、年齢、性別から推算されます。
低カルシウム血症を発症する病気は副甲状腺機能低下症や偽性副甲状腺機能低下症のほか、以下のものが考えられます。
- 慢性腎不全
- ビタミンD欠乏症
- 低マグネシウム血症
- ビタミンD依存性くる病・骨軟化症(まれ)
- 腎性高カルシウム尿症(まれ)
など
副甲状腺機能低下症の原因を調べる
副甲状腺機能低下症と診断されたら、その原因を調べます。
副甲状腺機能低下症は多くが二次的な原因によるものなので、頸部手術や放射線治療の経験があるか、ヘモクロマトーシスなどの病気と診断されていないかを確認します。生まれつきの異常が疑われる場合は、専門の施設で検査を受けることで原因が特定できる場合があります※3。
このほか、自己免疫疾患がないか、免疫チェックポイント阻害薬を使っていないかなども確認します。全てに当てはまらない場合は原因不明の副甲状腺機能低下症(特発性副甲状腺機能低下症)と診断されます。
※3 副甲状腺機能低下症の病因を調べるための遺伝学的検査は保険適応外です。
- 1)Fukumoto S, et al : Causes and differential diagnosis of hypocalcemia - recommendation proposed by expert panel supported by ministry of health, labour and welfare, Japan. Endocr J 55 : 787―794, 2008.
監修:東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 准教授 槙田 紀子 先生

